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資金移動業 資金決済法って何?

資金移動業 資金決済法って何?

送金サービスや決済代行の仕組みを調べていると、「資金移動業」や「資金決済法」という言葉に行き当たることがあります。
ただ、銀行の振込と何が違うのか、どんな登録が必要なのか、そして近年の法改正で何が変わったのかは、要点を押さえないと理解しにくい分野です。

本記事では、資金移動業が資金決済法でどのように位置付けられているかを整理し、2021年の大幅改正で導入された3類型(第一種・第二種・第三種)の違い、第一種に求められる業務実施計画の認可、利用者資金を守る滞留制限や履行保証金の考え方を解説します。
さらに、2025年6月6日に成立した改正で注目されるクロスボーダー収納代行の規制や、破綻時の返還方法の多様化といった最新動向も確認します。
読み終える頃には、サービス設計や委託先選定で何を確認すべきかが見えやすくなるはずです。

資金移動業は資金決済法の登録制で、類型と資金保全が中核です

資金移動業は資金決済法の登録制で、類型と資金保全が中核です

資金移動業とは、銀行などの預金取扱金融機関以外の一般事業者が、為替取引を業として営むことです。
そして資金移動業は、資金決済法に基づく規制対象であり、原則として事前に財務(支)局長の登録を受ける必要があります。

特に重要なのは、2021年5月1日に施行された改正で、資金移動業が送金額に応じて第一種・第二種・第三種の3類型に区分された点です。
どの類型で事業を行うかにより、上限額、手続(登録のみか、認可が追加されるか)、利用者資金の滞留に関する扱いが変わります。

なぜ「3類型」と「滞留制限・履行保証金」が最重要になるのか

なぜ「3類型」と「滞留制限・履行保証金」が最重要になるのか

資金移動業は「為替取引」を担うため、銀行以外にはルールが必要です

資金移動業は、銀行の振込と同様に、利用者さんから受け取った資金を相手方へ移転する機能を担います。
このため、銀行以外の事業者が同等の機能を提供する場合でも、利用者保護や資金の安全性を確保する枠組みが必要と考えられます。

資金決済法は、こうした観点から資金移動業を規制し、登録制度を通じて業者の適格性や体制整備を求めています。

2021年改正で「送金額に応じた規律」に再設計されました

資金決済に関する法律は平成21年6月24日に制定され、その後、2021年5月1日に大幅な改正法が施行されました。
この改正により、従来は1つの登録ライセンスだった資金移動業が、送金額に応じて3類型に区分されました。

第一種・第二種・第三種の整理

リサーチ結果に基づく区分は以下のとおりです。

  • 第一種資金移動業:送金上限額なし(登録+業務実施計画の認可)。原則として利用者資金の滞留は不可とされています。
  • 第二種資金移動業:1件あたり100万円以下(登録のみ)。利用者資金の滞留は可能とされています。
  • 第三種資金移動業:1件あたり5万円以下(登録のみ)。利用者資金の滞留は可能とされています。

このように、「高額を扱えるほど要求水準が上がる」構造になっている点が実務上の要点です。

第一種は「登録に加えて認可」が必要で、滞留制限が厳格です

第一種資金移動業として参入するには、資金移動業の登録に加えて、業務実施計画を定め、内閣総理大臣の認可を受ける必要があるとされています。
高額送金が可能になる一方で、厳格な滞留制限が設けられている点が特徴です。

業務実施計画に含めるべき事項

第一種資金移動業者は、滞留制限(資金決済法51条の2)を遵守するために必要な体制に関する事項や、為替取引に関する事故への対応方針を、業務実施計画に含める必要があると整理されています。
サービス設計だけでなく、システム、事務、内部管理、障害・事故対応まで含めた体制の説明が求められる可能性があります。

利用者資金の保全は「滞留を減らす」か「確実に保全する」かが軸です

資金移動業では、利用者さんから受け入れた資金が、送金完了までの間に事業者の管理下に置かれます。
この間に事業者が破綻した場合でも利用者資金が毀損しないよう、規律が設けられています。

滞留制限(資金決済法第51条)の考え方

資金移動業者は、資金決済法第51条により、利用者から受け入れた資金のうち「為替取引に用いられることがないと認められる資金」を保有しないための措置を講じなければならないとされています。
つまり、送金に使われない資金を長く抱え込まない設計・運用が求められる、という方向性です。

履行保証金による保全

また、送金途中にあり滞留している資金について、100%以上の額を履行保証金として保全する必要があると整理されています。
利用者保護の観点では、どの時点の残高を対象に、どの方法で、どれだけの頻度で積み上げるのかが実務上の論点になりやすいと考えられます。

無登録で行うと、銀行法上の罰則対象となり得ます

資金移動業(為替取引)を無登録で行った場合、銀行法第4条1項に違反する無免許業者として、銀行法上の罰則の適用を受けることになるとされています。
このため、事業者さん側はもちろん、委託してサービスを作る立場でも、登録の有無やスキーム該当性の確認が重要です。

2025年改正で「国際的な資金移動」や「破綻時返還」がアップデートされました

最新動向として、2025年6月6日に資金決済法の改正法が成立しました。
リサーチ結果では、主に次の改正点が示されています。

  • クロスボーダー収納代行の規制:国際的な資金移動に関する規制が強化されました。
  • 資金移動業者破綻時の利用者資金返還方法の多様化:ユーザー保護の仕組みが拡充されました。

国際取引を含むサービスは、決済フローに複数当事者が入りやすく、国内取引より論点が増える傾向があります。
「収納代行」と「送金(為替取引)」の線引きを含め、規制の射程を丁寧に確認する必要があると考えられます。

資金移動業と資金決済法を理解するための具体例

資金移動業と資金決済法を理解するための具体例

例1:フリマアプリ等の売上金の送金設計

フリマアプリなどでは、購入者さんの支払い後、売り手さんへ売上金を移転する導線が設計されます。
このとき、事業者が利用者間の資金移転を実質的に担う場合、為替取引に該当し資金移動業の規制対象となる可能性があります。

また、売上金を一定期間アプリ内に滞留させる設計は、滞留制限や資金保全(履行保証金等)の論点と関係します。
「いつ送金が成立したと整理するか」は、実務上の重要ポイントです。

例2:給与デジタル払い等、少額・高頻度の送金サービス

少額を高頻度で移転するサービスは、第三種(1件あたり5万円以下)や第二種(1件あたり100万円以下)の枠組みに収まる形で設計される場合があります。
ただし、上限額の管理、本人確認を含む不正対策、利用者資金の滞留管理など、実装面の論点は残ります。

この領域では、「上限額を超える取引が発生しない統制」が、システム要件としても重要になりやすいと考えられます。

例3:海外ECの「クロスボーダー収納代行」を含む決済スキーム

海外事業者さんの代わりに日本側で代金を回収し、海外へ精算する形は、いわゆるクロスボーダー収納代行として整理されることがあります。
2025年改正では、このクロスボーダー収納代行の規制が導入され、国際的な資金移動に関する規制枠組みが整備されたとされています。

国際送金が絡む場合、資金の流れ、当事者の位置付け、為替取引該当性の評価が複雑化しがちです。
そのため、サービス開始前に、規制対応の要否を専門家とともに確認する運用が現実的と考えられます。

例4:委託先選定で見るべき「登録」と「類型」

自社が直接登録を取らず、登録事業者へ委託して決済機能を実装するケースもあります。
この場合でも、委託先が資金移動業者として登録されているか、第一種・第二種・第三種のどれに該当するか、提供機能が登録範囲に収まるかを確認することが重要です。

特に、上限額や滞留の扱いが設計と合致しないと、サービス変更や追加対応が必要になる可能性があります。

資金移動業 資金決済法の要点整理

資金移動業は、銀行以外の事業者が為替取引を業として営むもので、資金決済法に基づき登録制で規制されています。
2021年5月1日の改正施行により、資金移動業は第一種・第二種・第三種の3類型に区分され、送金上限額や必要手続、滞留の扱いが整理されました。

第一種では、登録に加えて業務実施計画を定め、内閣総理大臣の認可を受ける必要があるとされ、滞留制限が厳格です。
また、利用者資金保全の観点から、滞留制限(資金決済法第51条)や、滞留資金の100%以上を履行保証金として保全する必要性が示されています。

さらに、2025年6月6日に成立した改正では、クロスボーダー収納代行の規制や、破綻時の利用者資金返還方法の多様化が盛り込まれ、国際取引や利用者保護の実務がアップデートされたと整理されています。

次に取るべき行動を小さく具体化することが現実的です

資金移動業と資金決済法は、条文理解だけでなく、資金の流れとシステム実装、運用体制が一体で問われる分野です。
そのため、まずは自社サービスの資金フローを図示し、送金上限額、滞留の有無、国際要素の有無を棚卸しすることが有効です。

そのうえで、登録取得を目指すのか、登録事業者へ委託するのかを検討し、必要に応じて財務(支)局の公表情報や専門家の助言を参照しながら、無理のない手順で進めることが望ましいと考えられます。