会社売却・買取

会社売却 赤字でも売れるの?

会社売却 赤字でも売れるの?

赤字が続いていると、会社を売るという選択肢自体が現実的ではないように感じるかもしれません。
しかし実務上は、赤字企業や債務超過の会社でも、M&A(合併・買収)や事業承継の枠組みで売却が成立するケースがあります。
大切なのは「赤字であること」そのものより、買い手が将来の黒字化やシナジーを見込めるか、そして売り手がリスクを整理して説明できるかです。
この記事では、会社売却 赤字の基本から、使われやすいスキーム、価格の考え方、注意点、進め方までを整理し、次の一手を考えやすくします。

赤字でも会社売却は成立する可能性があります

赤字でも会社売却は成立する可能性があります

結論として、赤字や債務超過でも会社売却は可能と考えられます。
買い手が「立て直せる」「自社と組み合わせると伸びる」「人材や技術が欲しい」などの理由で価値を見出せば、株式譲渡・事業譲渡・会社分割などの方法で成約することがあります。
一方で、財務悪化が深い場合は、条件交渉が厳しくなったり、売却後も一部の債務が残ったりする可能性があります。
「売れるか」だけでなく「どの形で、どこまで整理して売るか」が重要になります。

赤字でも売却が検討される理由と、評価の見方

赤字でも売却が検討される理由と、評価の見方

買い手は「将来の黒字化」と「シナジー」を見ています

赤字企業のM&Aが近年増加傾向にある、とする見方があります。
背景としては、買い手が次のような価値を取りに行くケースが目立つためです。

  • 事業シナジー(販路統合、仕入れの共通化、管理部門の統合など)
  • 人材・技術・ノウハウの獲得(特定領域の経験者、開発力、運用ノウハウなど)
  • 取引先・顧客基盤の獲得(継続課金、長期契約、優良顧客のリストなど)

赤字の原因が「一時的な投資」「固定費過多」「販売チャネルの弱さ」などで、買い手側の資源で改善できると判断されると、売却が前進しやすいと思われます。

節税目的で繰越欠損金に関心が向くこともあります

買い手側の動機として、繰越欠損金の活用が挙げられることがあります。
一般に、欠損金は一定期間の通算が可能とされ、7年間と説明されることもあります(制度運用は条件があるため、個別確認が必要です)。
ただし、欠損金の引継ぎや利用可否はスキームや要件に左右されやすく、税務上の論点も多いため、税理士さんなど専門家への確認が現実的です。

赤字企業の価格は「時価純資産」を軸に考えられます

赤字企業の評価は、将来収益(DCF等)よりも、時価純資産法の考え方が重視される場面があるとされています。
帳簿上の資産・負債を実態に近い時価へ調整し、そこに営業権(のれん)や含み資産(例:土地、保有株式、保険積立金など)を加味して譲渡額の目線を作ります。

実態純資産がプラスなら「値段が付く」余地があります

たとえば、損益計算書が赤字でも、実態の資産価値を見直すと純資産がプラスになる場合があります。
この場合、買い手が引き継ぐリスクとのバランス次第で、株式価値がプラス評価となる可能性があります。
赤字=無価値とは限らない点が実務の要所です。

スキーム選択が「売りやすさ」と「リスク」を左右します

赤字企業の売却では、何をどこまで引き継ぐかが交渉の中心になります。
代表的な手法は次のとおりです。

  • 株式譲渡:会社を丸ごと譲渡します。手続きは比較的シンプルですが、原則として契約・許認可・負債なども会社に残るため、買い手のデューデリジェンス(調査)が厳しくなりやすいです。
  • 事業譲渡:特定の事業だけを切り出して売却します。負債を承継しない設計が可能な一方、契約の移管や個別同意が必要になりやすく、実務負荷は上がります。
  • 会社分割・合併:収益性の高い事業を切り離すなど、柔軟な再編が可能です。近年は、良い部分を分けて売る発想が活用される傾向があるとされています。

赤字会社の売却で起こりやすい場面を具体例で理解する

赤字会社の売却で起こりやすい場面を具体例で理解する

例1:固定費が重く赤字でも、買い手の統合で黒字化が見えるケース

たとえば、管理部門の人員が厚く、家賃や間接費が重い会社は、単体では赤字でも、買い手が本社機能を統合できれば黒字化の余地が出ます。
買い手にとっては、売上を買うというより、統合後の利益を取りに行く投資になります。
この場合、売り手は「統合後にどの費用が削れるか」「どの業務が買い手に移せるか」を資料化できると、説明の説得力が上がります。

例2:債務超過でも、含み資産や回収可能な資産が評価されるケース

帳簿上は債務超過でも、時価で見直すと資産価値が上がることがあります。
たとえば、土地の含み益、保険積立金、保有株式などが該当する場合があります。
買い手は、これらを「安全余力」と見てリスクを取りやすくなる可能性があります。
資産の実態整理は売却条件に直結しやすいため、早期に棚卸しすることが重要です。

例3:赤字でも無形資産(技術・ブランド・顧客リスト)が売却の核になるケース

2026年現在、赤字でも無形資産をアピールして成約に至る事例が増えている、とする紹介が見られます。
具体的には、次のような要素が買い手の目的に合致すると、価格や条件が改善する可能性があります。

  • 技術:特許・設計・独自の製造条件・アルゴリズムなど
  • ブランド:業界内の認知、評価、受賞歴、指名買い
  • 顧客基盤:継続契約、解約率の低さ、優良顧客の比率

無形資産は数値化が難しいため、「誰が見ても分かる根拠」を揃えることが現実的です。
たとえば、継続率、リピート率、導入社数推移、主要顧客の業種分布、技術者さんの体制などが材料になります。

例4:不採算部門を切り離し、事業譲渡や会社分割で売りやすくするケース

赤字の原因が特定部門に偏っている場合、収益性の高い事業だけを切り出すスキームが検討されます。
事業譲渡や会社分割は、買い手にとって「欲しい部分だけを取得できる」ため、交渉が前に進むことがあります。
一方で、契約移管や従業員さんの同意、許認可、在庫・債権債務の切り分けなど、実務論点が増えます。
時間に余裕を持った設計が必要になります。

会社売却で後悔しやすい注意点

売却対価が負債を下回ると、借金が残る可能性があります

赤字や債務超過の会社では、売却価格が期待より低くなることがあります。
売却対価で返済しきれない場合、借入が残る可能性があります。
また、金融機関との調整や個人保証の扱いは、案件ごとに条件が異なります。
「売れたら終わり」ではなく、売却後の債務・保証の着地まで見通す必要があります。

買い手の調査(デューデリジェンス)が厳しくなりやすいです

赤字企業は、買い手がリスクを強く意識するため、調査が深くなる傾向があります。
未払残業代、訴訟リスク、簿外債務、在庫評価、売上計上の妥当性などが論点になりやすいです。
売り手としては、問題がある場合に「隠す」より「把握して対策案を示す」ほうが、結果的に交渉が安定しやすいと考えられます。

赤字の原因説明が弱いと、価格よりも条件が悪化しやすいです

買い手は赤字そのものより、再発可能性を警戒します。
そのため、赤字要因が「構造的」なのか「一時的」なのか、改善余地はどこかを説明できないと、表明保証の範囲が重くなったり、アーンアウト(業績条件付き対価)の提案が出たりする可能性があります。

まとめ:赤字でも「見せ方」と「切り分け方」で売却は現実になります

会社売却 赤字のテーマでは、赤字や債務超過でもM&Aが成立する可能性がある一方、スキーム選択とリスク整理が成否を分けます。
特に重要なのは次の観点です。

  • 買い手が見ているのは、将来の黒字化とシナジーです
  • 時価純資産や含み資産、無形資産の整理が価格に影響します
  • 株式譲渡・事業譲渡・会社分割など、目的に合う手法選びが必要です
  • 負債・保証・簿外リスクの着地まで含めて設計する必要があります

早めに動くほど選択肢が増える可能性があります

赤字が続くほど、資金繰りの制約や人材流出などで、交渉の余地が狭まることがあります。
一方で、早い段階で赤字原因を分解し、無形資産や改善計画を整えるほど、買い手に伝わる材料が増えます。
まずは、決算書だけでなく、事業別の収益、主要顧客、契約、借入と保証、潜在リスクを棚卸しし、M&A仲介会社さんやFAさん、税理士さん、弁護士さんなどに相談してみるのが現実的です。
会社の価値は、現在の損益だけでは測りきれないことがあります。
状況が厳しいときほど、整理された情報が次の選択肢を作ると考えられます。